碧水ホール ガムラン プロジェクト 2006 マルガサリ 楽舞劇[桃太郎]全5場通し公演
日時:2006年9月10日(日) 13:00開演(12:00開場)  場所:甲賀市碧水ホール
チケット:前売@2000 / 当日@2500 (学生前売@1000 / 当日@1500 / 小学生以下無料)

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 ガムランといえば、非常に様式性の高い音楽だが、実はこんなに自由な可能性があることを知った、というのが大きな発見であった。ぼくはこれまでに多くの作曲家に委嘱してガムランの新曲を演奏してきたけれど、そういうのとも違ったのだ。自分たちで構成などを考えるから、音楽がもっと身近な感じになる。ひとことでいえば「自分の音楽」といえるだろうか。もちろん、そういうのを人前で演奏する気恥ずかしさは残るけれど、メンバーは重要な一歩を踏み出した。 momo06-4-1a.jpg
 
 しかも、カミさまが与えてくれたチャンスだろうか。5月から奈良市の「たんぽぽの家」のメンバーと、コラボレーションを始めることになったのだ。たんぽぽの家では、身体的あるいは知的障害をもつ人が様々なアート活動をおこなっている。その新しいセンターが5月にオープンするので、マルガサリに演奏依頼がきた。ぼくは、ただマルガサリがお祝いのために演奏するだけでは面白くないと思い、障害をもつ人々と短時間でもいいからコラボレーションをしたいと申し出て、それが実現した。
 
 大当たりであった。なんと刺激的であったか。障害をもつ人々とのコラボレーションは初めてだったので、様子が分からなく、とにかく「キメゴト」があまりない方がいいだろうと思って、即興演奏で練習を始めたところ、それに合わせて踊る彼/彼女たちのダンスはとても魅力的であった。定型にはまったダンスではないけれど、そうとしか動けないだろうなと思わせるほど、必然的で完成度の高いものだったのだ。全く訓練を受けていない彼/彼女たちが、なぜこんなに踊れるのか?
 
 たんぽぽの家のメンバーが高感度であったわけだが、もう少しぼくたちに引き寄せて考えると、ジャワ音楽あるいはジャワ楽器のもつ可能性もあなどれないのではないか。つまり、ガムラン楽器のもつ余韻の長さ、あるいは複雑なリズムの可能性が、彼/彼女たちの身体能力とフィットしたと思うのだ。大きな鉱脈を発見したと確信して、それからというもの、ぼくたちはリハーサルをほぼ毎月のように繰り返している。何が生まれるかは分からないけれど、即興という方法が、マルガサリとたんぽぽの家をつなげていることは確かだ。
 
 即興演奏だから、うまくいくときも、あるいはどうしようもなくひどいときもある。しかし、ぼくは思う。ジャワの古典音楽も、実はこのようにしてできあがってきたのではないかと。ぼくたちの前にあるジャワの音楽はほぼ完成された姿だ。実に多くのルールや定型がある。しかし、初めはそんなものではなかったはずだ。もちろん、いまマルガサリがやっているような、毎回姿が大きく変わるような即興ではないにしろ、ゆっくりと時間をかけて色々な人の即興的ともいえる思いつきが集積し、いまの形になっていったのだろう。そんなことを実感する。
 
 以上のような状況を野村誠氏は見抜いて、第4場の練習を始めた。これまでも野村さんとのセッションは即興的であったが、それがいっそう強まっている。今回もジャワの音楽家が参加しているが、彼らがどのように感じているのか、コンサートが終わってから聴いてみたいと思っている。
 
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主催:甲賀市教育委員会 / 甲賀市碧水ホール
後援:インドネシア共和国総領事館 / (有)ナルナセバ
協力:ティルト・クンチョノ / ブルーウェイ(株)



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